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二人はアパートの中に入って行く。
玄関は三和土になっていて靴が思い思いに脱ぎ散らかされていた。
どう贔屓目にみても雑巾のようにしか見えないスニーカーの横に、
おそるおそる自分の靴を脱いで上がる。
カビともホコリともつかない匂いが鼻孔に流れ込んでくる。
ああ、田舎のおばあちゃんちの納戸の匂いだな、と修平は思った。
「汚い家どっしゃろ。だいどこ(台所)も風呂も共同やし、部屋もそない広う
ないし、今時の若いお人はよう住まはらへんのちゃうかと思うにゃけどねえ。」
「はあ。」
二人、中の階段をあがりはじめる。ひと足ごとに、きしきし、と足元が鳴った。
「まあ、家賃の安いのんだけが魅力と違いますか。
美大生さんは学費やら、絵ぇの道具やらでお金がかかりますさかい、
住まはるとこは始末しはんのか、おかげさんで空き部屋はあらしまへんにゃわ。
1階に4部屋、2階に6部屋。しーとくーは抜かして10部屋ですわ。」
・・・へえ、ここですわ。」
あ、「しーとくー」は4と9のことか。やっと修平が得心したところで、
部屋についたようだった。
管理人は「10」と書かれた部屋のドアを開ける。
修平は部屋に足を踏み入れて中を見回した。
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