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「よかったぁ~」弾んだ声をあげると、鬼塚は部屋を出て、
階段をリズミカルな音をたてて駆け下りていった。
気がつけば、修平はまるで鬼塚と同居しているような状態になっていた。
そしてそれは修平だけではなく、このアパートの住人全員がそうだったのだ。
「うわーーーーっ!絶景!」
部屋の窓から、満開の桜を見て叫ぶ修平。
鬼塚は後ろで微笑んでいる。
「おかえりーーー!」
台所からフライ返しを持って叫ぶ鬼塚。カルトンを持って帰って来た修平。
「おーーー。なんかいい匂い」
「いっぱい作ったんや。みんなで食べよ~」
ここでは、それがごくごく、自然なことのようだった。
「オニ!オーニー!」
部屋の窓から上半身を乗り出して叫ぶ修平。
「あれぇ。どこ行ったんだろ。課題のモデル頼もうと思ってたのに・・・」
「オニ君!ボタン取れたんや、これ・・・、あれ?泉君一人?オニ君は?」
広瀬が部屋を覗いて言った。
シャツの下から二番目のボタンがはずれて糸一本でぷらぷら揺れている。
修平が首を横に振るのを見て落胆したように
「なんや、いーひんのかいなー。しゃあないなあ。」と呟く。
「ね、広瀬君」
「え?」
「オニの部屋って何号室?」
広瀬は眼をくりくりさせた。
「オニの部屋。」もう一度修平が問う。
「ここちゃうの」広瀬は10号室のドアを指さした。
「ここ、僕」
「あ、そか。知らんわ。」
あっさりと言い放って、広瀬は部屋に戻っていった。
修平は窓際に頬杖をついてしばらくむずかしい顔をしていたが、
しばらくすると首を振ってスケッチブックに向かった。
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