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スルリと木から滑り降りてきた鬼塚が修平の横に立って一緒にツバメを眺めた。
「びっくりしたあ」
ツバメはジュクジュクとせわしなくさえずっている。
「あれ、何ていうてるか解る?」
鬼塚がいたずらっぽく尋ねる。
「えっ、ツバメが?」
「うん」
「僕にはジュクジュクジーとしか聞こえないけど」
鬼塚はちいさく笑って言った。
「殿さんは白ままにトト添えて、ワシら土喰て虫喰て渋ーーーーい」
「え?とのさんは?」
「お殿さまは白いゴハンにお魚つけて召し上がるのに、
自分らは土やら虫やらしか食べられへん、て言うてんにゃて。」
「ふーーーん」
「白ままにトト添えて。今日は鮭の焼いたんやで。晩ご飯。」
ツバメは小首をかしげて二人を見た後、つい、と空に舞い上がり、
どこかへ飛んで行った。
「オニ・・・あのさ・・・。」
「ん?」
「うん、あの・・。」
ツバメに気をそがれたからか、聞きたかったことがスッと出てこなかった。
「課題のモデル、頼めるかな」
鬼塚はにかっ、といつもの笑みをみせた。
「ええよ。ゴハン、食べてからでええやろ?」
「うん」
腑に落ちないことを全部問いただしたら、スッキリするんだろうけれど。
修平は考えていた。
そのせいで、もしこの生活が変わってしまうようなことになったら。
それはそれでなんだかイヤだ。
オニが桜荘の住人で、僕の友人なのは間違いないんだから。
このままで。それでいいのかもしれない・・・。
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