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「10部屋なのに11人。この下宿だよ。」
「・・・・・。」
「ぶどう、順番に配っていったら気がついたんだ。
広瀬君と大井君がまだ帰ってないけど、ほら、僕の分と3つしか残ってない。
ひとつ余るはずなのに。」
「広瀬君と大井君・・・そのふたり、12号室やで。」
「えっ?」
「大井君、前にいた下宿が火事になってん。ほんで今、広瀬君とこに居候中。」
「なんだああぁ」修平は後ろにのけぞって気の抜けた声をあげた。
「そっかぁ。オニは5号室だな、そうすると。」
「あ・・・う、うん。」
「そっかー。よしっ!これで部屋番号と名前が全部一致したっ!めでたい!」
「・・・・・。」
「なんかさあ、みんな他の部屋に無関心でさ、誰がどこだかよく知らないって
いうんだよ。それもちょっと気持ち悪いハナシだろ。・・・あれ、オニ?」
修平はあらためて鬼塚の顔を覗き込んだ。
「何?オニ、なんか顔色わるいな。」
「そ、そう?いや、別にどうもないよ?」
「そう?」
「それより泉君、ご飯たべたんか。」
「いや、まだ・・・。」
「ラーメン、あるけど。」
「食べる!あ~なんかスッキリしたら腹へってきたよ!」
「ほな、作ってくるわ。ちょっと待っててな。」
鬼塚はそそくさと修平の部屋を出た。
そして今閉めたばかりのドアに寄りかかって、深いため息をついた。
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