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4−3
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「えーっ!泉君もうハタチなん?!」
修平と向かい合ってラーメンをすすっていた鬼塚が、素頓狂な声をあげた。
「でかい声で言うなよ。・・・・二浪してんだよ。」
「ほな、広瀬君二回生やけど泉君のほうが年は上なんや。」
「そ、実はオジサンなの、俺。」
「ほな、寅年やな。」
「・・って干支かよ。うん。オニは?」
「僕?僕はな・・・。」鬼塚はすこし考えてから声をひそめた。
「猫。」
「猫ぉ?ねーよ。」
「いんにゃで。「ね」の前。」
修平は手をとめて空中をにらんだ。
「「ね」の前は・・・えっと・・・あ、「ゐ」だ。いのしし。」
「ちゃうねん。猪はいっちゃん最後。鼠の前に、猫。」
「なんで?」
「あんな、天の神様が」
「天のかみさまあ?」
「まあ聞きいな。天の神様が動物たちに、お前たちの年をつくってやろう、
言わはってな。 ただし、限定12個や、いついつの朝一番から、
並んだ順に年をやろう、ってことになったんや。」
「ふん、それで?」
「猫は、その日にちを忘れてしもてな、鼠に訊いたんや。いつやったかいなーって。
鼠は、一日遅い日付を猫に教えた。猫は、すんごい早起きして、
神様のとこにいったけど、一日遅れで年がもらえへんかったんや。」
「はあん、それで「ね」「うし」か・・・。」
「牛はな、自分は足が遅いし、時間がかかる思たから、3日も前から出発したんや。
でも神様の前についたとたん、背中に隠れとった鼠が前にちょん、と出て来て、
二番手になってしもたんや。」
「鼠がずるいのか、牛が馬鹿なのか」
「わからん。」
「・・・で、猫はどうしたんだよ、仲間はずれにされて。」
「・・・それ以来、鼠をみると怒って追いかけんにゃって。」
「なにそれ・・・すごいオチ。」
「せやろ。」
「で、その猫年。」
「うそ。泉君とおんなじ。」
「んだよ。てかそういうハナシ、どこで仕入れんの?」
「昔話や。おじいちゃんがよう話してくれた。」
「へえ・・・・ああっ!!」
「なに?どないした?」
「ラーメン伸びた!」
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