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6−3
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「事故や。はよ来て!」
鬼塚は修平の腕をつかんで部屋を飛び出ようとした。
「ちょっ、ちょっ、待っ!」
「はよう!広瀬くんと大井くんがたいへんや!」
「えっ・・・・?」
なんのことだかさっぱりわからないながら、鬼塚の剣幕がその場しのぎの
芝居や冗談ではない、真剣なものであることは感じ取れた。
「・・・わかった。」
修平は鬼塚について、部屋を飛び出した。
*
桜荘から少し離れた道路。
ちょうど民家が途切れて休耕田が荒れたまま放置されているところにある急カーブ。
街灯もない暗がりに大型バイクが横転している。
ヘルメットをかぶったままの人影が必死に叫んでいる。
「大井!大井ぃ!」
バイクから少し離れた場所に、投げ出されたときの姿のまま意識を失っているのは
桜荘の広瀬と同居している大井だった。
かぶっていたヘルメットはずいぶん遠くまで飛ばされて転がっている。
大井は口から血を流して、全身をこまかく痙攣させていた。
ヘルメットをかぶったままの広瀬が何度目かわからない、
大井の名を口にしたとき、下宿の方角から鬼塚の声が聞こえた。
「広瀬君!!」
広瀬ははっとしたように暗がりをすかしてみた。
鬼塚と修平が走ってくる。
「ああ・・・」広瀬は安堵のまじった泣き声をあげた。
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