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長い夜が明けた。
鬼塚はうっすらと眼をあけた。
白い天井がみえる。
視線を廻らせながら昨夜の記憶をたどる。
ゆっくり首を動かすと、ベッドサイドに修平が座っていた。
目が合った瞬間、視線をすっと逸らせた修平だったが、意を決したように
再び鬼塚にまなざしを向けた。
しばらくして、修平は鬼塚に肩を貸して桜荘に戻った。
病院からアパートまで、二人ともひとことも口をきかなかった。
修平は始終怒ったような顔をして黙っていたし、鬼塚は歩くのもおぼつかないほど
衰弱していた。
10号室に戻ると、入り口で躊躇する鬼塚を強引に部屋に入れ、
敷いたままになっていた自分の布団に寝かせた。
そして窓際の机の前で、彼に背を向けて胡座をかいた。
鬼塚はまだ透き通るような青白い顔をしている。
「泉くん・・・。」
蚊のなくような声で鬼塚が訊いた。
「広瀬くんと大井くんは?」
修平は鬼塚に背を向けたまま答えた。
「二人ともたいしたことないって。広瀬は今警察行ってる。」
「そう・・・。よかった・・・。」
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