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10−1
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窓の外に、オレンジ色の雲が見える。
薄暗くなってきた修平の部屋で、鬼塚はそっと体を起こした。
泣きつかれて眠ってしまい、つい今しがた目覚めたのだった。
ゆっくり立ち上がる。もうふらつきは収まっていた。
窓際に立ち、ガラス戸を引き開けた。
桜の枝が風に揺れている。
なにかに集中するようにすっと眼を閉じる鬼塚。
彼の体が一瞬、風にとけるように薄れた。
が、吐息とともにすぐ元に戻る。まだ通力が戻っていなかった。
「あかん・・・。消えることもできん・・。」
力なくうなだれて、鬼塚はドアのほうに向かった。
部屋をふりかえり、名残惜しそうに見回して、また俯いたまま出て行こうとした。
だがドアノブに手をかける直前、ドアが開いた。
修平が立っている。
「・・・・!」
二人とも驚いてしばらく動かなかった。修平のほうが先に声をあげた。
「びっ・・・くりしたあ!・・・なんだよ。寝てろって言ったろ。」
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