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10−3
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「俺さ。」
修平はリンゴを剥く手を止めて鬼塚の眼を見た。
「外あるきながら、ずうっと考えてたんだ。大学入って、この下宿に来て、オニと初めて逢って
・・・・・・そして今日までのこと。」
またリンゴに目を落とし手を動かしはじめる。
「オニのこと、思い当たる節もあったし、全然、人間らしいと思う事もあった。
なんだかジジくせえなあって思ったこともあったな・・・。
そりゃそうだよなあ。二百年も前から生きてんだもんなあ・・・。」
「・・・・・。」
「そいでさ、俺、おまえのこと怖いのかなって考えたんだ。
・・・ほら、あの姿、見ちゃったし。」
鬼塚の胸がとくん、と音をたてた。
「・・・怖い?」
「それが・・・どうしても怖いって思えない。」
「え・・」
「なんか、いいじゃん。そんなの。あのさあ、こんな例えで失礼なんだけど、
サメ飼ってるやつとか、ワニ飼ってるやつとか、いんじゃん。
は虫類とか、生きた餌やったりさ。
はたからみてウソだろって思うようなの、可愛い、って思うやつもいんじゃん。」
二つ目のリンゴに手を出して剥き始める。
「オニのこと、珍しいペットと一緒にしてるんじゃないよ。」
「・・・うん。」
「あ~。なんか上手く説明できないんだよ。」
「・・・・。」
「ようするに、さ」
「俺、今までどおりだから。」
そっけなく、だが力を込めて、修平は言い切った。
「俺は変わらない。」
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