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11−4
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にぎやかになった花見の宴をあとに、修平と鬼塚はアパートをでた。
*
河原町通りを四条からさがってゆくと、目的の画材屋がある。
修平の通う美大からは、けっこう離れているので、車をもたない学生が画材を
買い込むには少々不便である。
「悪いね」修平が筆や絵の具を物色しながら言った。
「ううん。たまにはこんなとこもおもろいな。」
鬼塚はところ狭しと並べられている画材をめずらしそうに眺めている。
「あ、あった。この色。」
「学校の売店になかったん?」
「うん。品ぞろえ薄くてさ。何かっていうと、河原町の本店で取り寄せ・・・って。」
「ここ?」
「そ。自分で買いに来た方が早いから。」
画材屋から下げ袋をみっつと、大きなイラストボードを何枚か、手分けして持って出る二人。
「ほんとごめん。」
「ええって。泉くん、パステルもやんの?」
「うん。今のうちにいろいろやってみようと思って。先月バイトいっぱいやって
軍資金作ったんだ。」
「高いやつ買うてたもんなあ。」鬼塚が袋を持ちかえながら言った。
「発色がいいんだって。先輩が使ってた。」
「ふうん。」
狭い交差点で、若い女性とすれ違う。
修平の抱えたボードが女性のバッグにひっかかった。
「あっ・・・・、すみません!」
女性は「いえ・・」と会釈して、バッグを持ち直して行きかけたが、
ふと二人の顔を見、顔色をかえた。
「あっ!あんた!!」
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