アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12−2
-
修平はとっさに女の背後を指差して叫んだ。
「あっ、木村拓哉だ!」
言うなり鬼塚の手をつかんで走り出そうとするが、反対側の腕を女につかまれて引き戻される。
「そんな手ぇが通用すると思てんのかいな!」
修平、あきらめきれずにしつこくとぼける。
「えっ?おかしいなあ。確かに今・・・。」
そのとき、修平の指差した方角で、にわかに女の子の嬌声があがった。
黄色い声が次第に数を増やしていくのを見た女は、急に落ち着きを失った。
「え?いや、ほんま?キムタクきてんの?」
今度こそその隙をついて、ふたりは脱兎のごとく逃げ出した。
大量の画材を抱えてみっつ、よっつ先の交差点まで人ごみを縫って走る。
大きなビルの角を曲がったところで、後ろを確認してようやく止まった。
「はあっ、はあっ、も、もしかして、さっき、術つかった?」
息も絶え絶えで修平が訊いた。
「うん、ちょっ・・・ちょっとだけ・・・。」鬼塚も息が荒い。
「やっぱり・・・。はあっ、はあ・・・ああ、それにしても、
なんであんなの襲ったんだよ。 逆に襲われてんじゃん。」
「見た目に騙されてん・・・。気ぃはまあ強そうかな、って思てたけど、
あんな怖い思わへんかったんや。
あの夜かて、ホテルの部屋の花瓶で殴るわ、膝蹴り飛んでくるわで・・・・。
僕ちょっと殺される思たで。や、ほんま。」
「こわ・・・。」
・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 66