アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13−1
-
ある夜更け、修平は部屋の壁に白いキャンバスを立てて、その前で腕組みをしていた。
「ふ・・・ん。問題はテーマだよな。」
キャンバスの前を行ったり来たりしながらつぶやく。
「ピカソいわく、作品にテーマをもとめるな・・・・っていってもな・・・。」
窓の方をちら、と見て「オニは今夜はお出かけか・・・。」
キャンバスの正面に座り込む。
「また怖い姉ちゃんに当たってなきゃいいけど・・・。」
「あーあ。構図が勝手にキャンバスに浮かんでこねえかなあ。」
そのまま、頭の後ろで手を組んで、畳の上にごろん、と寝転がった。
寝転んだまま眺めている白いキャンバスに、ぼんやりと人の姿が浮き出てくる。
最初は光の加減でそう見えるのかと思ったが、
あきらかに形をはっきりさせてゆくその姿に、ぎょっとして起き上がった。
「うわ。出た。・・・・構図?」
が、その正体が鬼塚だと気づいてはっとする。
キャンバスの姿は次第にくっきりと浮かび上がって立体感をともなってきた。
透き通るような顔色の鬼塚がキャンバスから抜け出るように部屋に倒れ込むのと、
修平が腕をのばすのが同時だった。
「おっ、おいっ、どした?」
抱きとめた鬼塚の背中を一目見て、修平は息をのんだ。
服の上から背中がぱっくりと裂けて赤い傷口になっている。
「オニ・・・どした?何があった? おい、しっかりしろよ!」
「かっ・・・・!」
鬼塚は残った力を振り絞って修平の腕をぎゅっと握った。
「狩られた・・・・。鬼・・・狩り・・・。」
それだけ言うと、がっくりと気を失う鬼塚。
「おい・・!オニ!」
・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 66