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14−2
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「鬼は・・・死んだら砂になるんやって・・・。」
消え入りそうな声。
「オニ・・・。」
「僕はすごい幸せやった・・・。
こんなに幸せやった鬼はきっといてへんと思う・・・。」
僕は・・・泉くんのおかげで、幸せな幸せな砂に・・・なる・・・。」
「な・・何言ってんだよ。砂なんかになってどうすんだよ。しっかりしろよ!」
修平は、なんとか鬼塚を立ち上がらせようと背中に手をまわしてはっとした。
手のひらに、砂がついている。背中の傷をみると、ぱっくりと裂けた傷口が
さらさらと溶けはじめていた。
修平は愕然として鬼塚の顔を見た。
青白い肌が今にも月光に溶けそうで、瞳は遠くに焦点をあわせて、力なく潤んでいる。
「オニ・・・。」
鬼塚は、そのまま目を閉じて力なく頭を垂れた。
「俺たち、まだ友達になったばっかだよ。ずっとひとりで来たんだろ。
やっと友達つくったんだろ。オニ、生きろよ。
まだ・・・まだいけるだろ? なあ、オニ!」
鬼塚は応えない。
風に溶けた、背中の傷口から、さらさらと砂が地面にこぼれる。
風が。
風が彼をさらってゆく。
そんな気がして、修平は鬼塚を固く抱きしめた。
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