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階段をあがる。ギシギシと足元が鳴る。
「家賃、一万円だもんな・・・。しょうがないっか。」
ひとりで頷きながら部屋に戻り、ドアを開けるなり人の気配にぎょっとする修平。
「だっ!だれ・・・。」
開けっ放しの窓の枠に、小柄な青年がちょん、と座っている。
少し大きめのTシャツは首のところがのびていて、華奢な鎖骨がのぞいている。
ジーンズも穿き古しているが、汚い、という感じではない。
髪も、さっき起きてきました。といった風情だが驚くような猫っ毛で
窓からの逆光にほやほやと透けている。
青年は修平の顔をみると、人なつこい笑顔を向けた。
「こんにちは」
関西のイントネーション。
「荷物、預かってたし、持って来たんや。」
「え・・・」
言われて改めて部屋を見ると、隅に実家から送っておいた荷物がまとめて置いてある。
「いつのまに・・・?」修平、眉をひそめる。
窓際からとん、と畳におりた男は
「鬼塚です。ここの下宿の先輩。」と名乗った。
「泉・・・です。泉修平。宜しく・・・。」
「うん。宜しく!」
鬼塚はにかっ、と顔中で笑った。人なつこい笑顔に、修平も思わずつられて笑った。
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