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「ここのみんなにおうた?」鬼塚が尋ねてきた。
「いや、まだ・・・。あ、さっきひとり、本田サンとは。」
「本田君?ああ〜、愛想なしやったやろ。あの人いつでもあんなんやし。
気にせんでええで。」
「そうなんだ・・・。」
「せや!歓迎会、するわ。泉君の。」
「え・・。」
「明日の夜、空けといてな。12号室の広瀬君の部屋でやろ。
あっこが一番広いんや。」
「でも・・・。」
「大丈夫、準備は全部、僕がやるから。・・・あ、それと、机とか棚とか、
こっちで買うんやろ。安いとこ知ってるし、行くときいうてや。教えたるし。」
軽く手を振って部屋を出ようとする鬼塚を、修平が止めた。
「ちょっ、ちょっと。」
「ん?何?」
「あのさ、ここの下宿って、みんな他の人の部屋に勝手に入るの。」
鬼塚はきょとんとして修平の顔を見た。
あまり無邪気な顔で見返されたので、急に自信がなくなった修平が
「いや、別に、いいんだけどね・・・。」とつぶやくと、
「気にせんといて」鬼塚はまたにかっ、と笑った。
「僕の流儀なんや。最初だけな。そういうのん、イヤやいう人の部屋には
もう入らへんから。」
「・・・・・。」
「ほな、明日の夜、空けといてな。」
ひらひらっと手を振って、鬼塚は部屋から出ていった。
修平はあっけにとられて、ただ見送るだけだった。
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