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チャイムが鳴り、モデルが浴衣を羽織って入室して来た。
今まで談笑していた学生たちが、一斉にスケッチブックを広げる。
モデルは慣れた動作で浴衣を脱いで台の中心にたち、ポーズをとった。
若い男性モデル。顔がすこし、常磐貴子に似ている。
修平はスケッチブック越しにそっと田口のほうを見た。
スケッチブックを構えてはいるものの、あきらかに凍り付いている様子の田口。
修平から見ると、ちょうどモデルの股間の位置に、田口の頭がある。
思わず笑いそうになって、咳払いでごまかし、デッサンにとりかかった。
*
「ちきしょー!オニのやつ!ガセかましやがった!!」
田口と修平が構内を並んで歩いている。
修平はさっきから笑いがとまらない。
「でも、一応、顔は似てたじゃないスか。」
「ばかやろう!顔が似てればなんでもいいって訳じゃねえや!
ここだぞ!ここ!」
田口がゲンコツをつくって自分の鼻先に持って来た。
「くわー!なにが哀しくて男の!男の!!あ・あ・あ・あ~~~~!!」
地団駄をふんで悔しがる田口の横でさんざん笑ってから、修平はふと気がついた。
「オニは・・・、誰にきいたのかな。あのモデルが常磐貴子に似てるって。」
「さあな~。あいつ、大学でも見かけるし、学校のこともよく知ってるけど、
作品描いてる様子もないし、 学外展にも、出品・・・してたっけなあ」
ようやく落ち着いた田口もそう言って首をひねった。
「え、じゃあ、学生じゃないのかなあ」
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