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7−2
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修平は電話をかけ終えると走って広瀬のもとに戻った。
あいかわらず座り込んでいる広瀬の肩をゆする。
「救急車、すぐ来るよ。大丈夫だって。」
広瀬は緊張の糸が切れたのか、ぼんやりしてしまって反応がない。
大井のことが気にかかるので、広瀬をそのままにして修平はバイクのほうへ走った。
暗がりの向こうに声をかける。
「オニ、大井君は?」
ちょうどその時。
月にかかっていた雲がとぎれた。
修平は月の光に照らされたものを見て、立ちすくんだ。
倒れたバイクの向こう側に、大井が横たわっている。
その上に覆いかぶさるように、何かが、うずくまっていた。
「それ」が頭をあげてこちらを見た。
頭上に二本の角。髪はごわごわと逆立って、うっすらと開けた口から
するどい牙が覗いている。
修平の視線に気づき、顔を隠そうとしたのか、振り上げた手の先には長く
とがった爪が、月光をあびて妖しく光っていた。
すぐに。
月は雲に隠れた。
ふたたび闇につつまれながら、修平は動く事も、声を出す事も出来なかった。
が、意識の奥底で、今までバラバラに散っていたピースが、ふっと繋がったような
感覚があった。
なんの根拠もなく。だがたしかな、確信。
「あれ」は鬼塚だ。
やがて修平の背後からサイレンの音が響いてきた。
その音にはっと我にかえる修平。
救急車のライトがばっとあたりを照らした。
大井が、横たわっている。
そして、そのかたわらに、もう一人倒れている人影があった。
ぎこちない足取りで駆け寄る修平。後ろから、担架を持った救急隊員も走ってくる。
大井の横には鬼塚が気を失って倒れていた。
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