アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9−4
-
「 ・・・鬼らは隠れて暮らすようになった。
隠れてこそこそしてたら、余計に人間は鬼を狩るようになった。
鬼は・・・群れたら目立って・・鬼狩りに狙われるから、
みんな散り散りになって・・・ひとりぼっちで暮らすようになった・・・。」
「ひとりぼっちの鬼の子は、ある日とうとう、人間に化けて、こっそり子供らに混じって
遊んでみた・・・」
「かくれんぼう、鬼ごっこ。遊びのなかでも鬼は悪者やったけど、
それでも・・・みんなぁ、きゃあきゃあ笑いながら逃げて・・」
「楽しかったなあ・・・。」
修平は背けていた首を廻らせて、そっと鬼塚の顔をみた。
とおいとおい昔をなつかしむように、彼はくちもとに微笑みを浮かべていた。
が、目尻には光るものが零れている。
江戸時代の頃の、農村の子供たちが遊ぶ姿。
かくれんぼの鬼が、桜の木に顔を伏せて数を数えている。
十まで数えてぱっと振り返ると、誰の姿も見えない。
張り切ってあたりを探しはじめる鬼の子。
が、草むらからふいに、大人が手に鍬をもって現れる。
鬼の子、驚いて後ずさりする。
『見かけへん子ぉやな・・・。さては鬼の子か』
鬼の子、怖れて逃げ出す。
鍬や鋤を持った村人、徐々に人数が増えて武器を振りかざして鬼の子を追う。
必死ににげる鬼の子。
・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 66