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15−1
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修平と鬼塚を担いだ小鬼たちは、以前大井が運ばれた病院にやってきた。
非常階段をふわりふわりと駆け上がる。修平は思わず身を固くしたが、
不思議なほど揺れは少なく、あっという間に屋上にたどり着いた。
小鬼たちは静かに二人を降ろし、再びわらわらと風に戻っていった。
修平は鬼塚を抱えたまま、辺りを見回した。
ここより高い建物がないのだろう。夜空にびょうと風が吹くだけ。
が、非常口の方向から近づいてくる白衣が目にはいる。
前に見かけたことのある、銀縁眼鏡をかけた若い医師だった。
噛み付きそうな目で睨みつけてくる修平に
「安心して。」と低く声をかけると、若い医師はそっと鬼塚の体にふれた。
修平の腕のなかで、鬼塚が生気をとりもどしてゆくのがわかった。
彼はゆっくりと目をあけた。
「オニ・・・・。」
「ここは・・・?」鬼塚は修平と若い医師の顔を交互に見た。
修平が肩をかして、鬼塚を立ち上がらせた。
そっと背中に触れると、一抹の砂をのこして傷は綺麗に治っていた。
「君が最後の一人だ。私が集められるだけ集めた。」
医師がそう言って東の方向を指差した。
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