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「え?」
思いがけない言葉に、修平は驚いた。
「住む世界が違うのだ。一緒にいてはいけないのだよ。・・・もう共存は無理だ。」
「そんな・・・。」
「もう人の心に、私たちを受け入れる隙間・・・ゆとりと言ってもいいかな・・。
それがないんだ。」
「じゃ、じゃあ、どうすんだよ。」
「泉くん」
制してきた鬼塚の落ち着いた声音を聞いたとたん、修平の心のなかで不安がふくらんできた。
まさか。
まさか、オニ・・・。
鬼塚もそれを察したように哀しげな目を向けた。
「逃げんのかよ。」医師は黙っている。
「ほかの・・・他のやつらは知らねえよ。でも俺たちは友達になれたよ?
俺は一緒にやってけると思うよ? そ、そうだ。桜荘のやつらだって、きっと、
よく話してやれば・・・。」
「泉くん。」鬼塚が修平の言葉を遮った。
「でもな。僕は桜荘の人たちは大事にしてたけど、外では人間の血を吸うて生きて来た。
人を・・・人間を傷つけてきたんや。ずっとずっと。」
「だって、それは・・・。」
「そうや。しゃあない。生きるためや。せやけど、やっぱり、ほんまはイヤやった。
血ィ吸われた人は、やっぱり僕らの事、許せへんと思う・・・。」
「じゃあ!」
修平は右腕の袖を捲って、鬼塚の前に差し出した。
「いいよ。よそでやんなくても、月いちくらいだったら俺の飲めばいいじゃん。」
鬼塚はそれを聞くと、かえって辛そうに口をへの字にまげた。
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