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16−3
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「おい、泉はまた鬼の絵か。」
白髪の教授があきれたような声をあげた。「ずいぶんとご執心だな。」
美術大学、洋画科の教室での作品の合評会。
修平は自分の絵のまえでうすく微笑んだ。
修平はあれから、鬼の絵ばかりを描き続けた。
昔話も題材にしたし、風景画にも鬼の姿を入れた。
白いキャンバスに向かっていると、鬼の・・・鬼塚の姿がひとりでに
浮き上がってくるのだった。
絵のなかの鬼は、いつもこころもとない笑みを浮かべていた。
200年の孤独。
ゆきどころのない想い。
優しくて優しくて、優しいまま、追われていった大切な友人・・・。
そしてその仲間たち。
自分の絵をみて、誰か一人でも、彼らの気持ちを解ってくれたら・・・。
ねがうべくもないことを、それでも願いながら、彼は描かずにはいられなかった。
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