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龍弥と彰吾、俺には二人の恋人がいた。許されざることとはわかっていながら、二人の好意に甘えて、俺はぬくぬくと幸せに浸っていた。俺だけが幸せだった。龍弥も彰吾も互いの存在を認めながらも、心から受け入れてるわけではなかった。俺の幸せを考えて、互いに譲り合ってくれていたのだ。二人はいつだって俺のことを考えてくれていたのに、俺はそれに甘えて二人の幸せを考えきれていなかった。
彰吾は3つ歳上の、俺の仕事のパートナーでもある。俺の仕事はモデルだった。大手企業のイメージモデルから、国内外様々な広告に起用してもらい、それなりに知名度があったようだが、本職は緊縛モデルで、そして彰吾は緊縛師をしていた。彰吾は必ずしも俺の専属と言う訳ではないが、恋人関係というのが周知なこともあり、よくペアとして扱われた。
仕事は順風満帆だった。アングラ界では、俺も彰吾もその名を知らない者はいないくらい有名になっていた。俺が出るステージはいつも満員だし、彰吾と作る作品は軒並み完売した。彰吾は海外からも注目され、世界中のフェチイベントに出演するようになり、俺の父であり緊縛師でもある東雲博之とともに縄アーティストとしても活躍するようになった。
会えない日々が続いても、俺は彰吾の愛情を疑ったことはなかった。それくらい彰吾は俺を愛してくれていたし、大切にしてくれた。離れていてもいつだって繋がっていた。それは本当で、彰吾はどんな女にも靡く様子はなかったし、噂の一つも聞いたことがない。
しかし、龍弥は違った。
龍弥は俺の血の繋がった弟だ。生まれた時から世界で一番大切な存在で、彼の幸せを何より一番に考えていたはずだった。それなのに、想いが通じて龍弥も俺を好きになってくれたのに、俺は彰吾の手を離すことができなかったのだ。
龍弥は努力して彰吾の存在ごと俺を受け入れようとしてくれた。けして仲がいいとまではいかなくとも、3人で一緒に食事をしたり、セックスすることもあった。それでも、龍弥は我慢し通してたのだ。俺のために。それはストレスになって、龍弥を壊すことになった。優しい弟だった。兄思いの可愛い弟だった。本当に、誰よりも一番に愛していたのに、一番傷つけてしまった。それは、後悔してもしきれない。
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