アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
あれからすぐに父さんが芹沢さんと連絡を取った。俺が復帰する旨を伝えた時の芹沢さんの反応はすごかったらしい。すぐに手配したようで、馴染みの会場で週末早速出演することになった。
「もしもし、雅です。こんばんは」
『ひ、ひひひひひ姫っ!?い、いかがなさいました!?』
「......むしろ轟さん大丈夫?」
イベントの前日、俺は轟さんに電話をした。ワンコール鳴りきらないうちに繋がった電話の向こうで、ドッタンバッタンとものすごい音がした。
『あ、ちょ、ちょっと躓いただけで......あ、あの......?』
「俺、明日イベント出るの。知ってる?」
『も、もちろん!!この私、見逃すわけがございませんから!』
「あは、良かった」
『もう体調はよろしいのですか......?』
「うん。セックスできるくらいには元気だよ」
『セセ、セッ、セッ......』
「ふふ。......俺ね、もう一回女王になるから。今度は、轟さんにも姫なんて呼ばれないくらい、本当に女王になるから......」
『ひ、姫?それは、どういう......』
「ショーの後、セックスしよ」
『へっ、えっ、えええっ!?』
「約束。ね」
『やや、ややや、やく、やく』
「動揺しすぎ。......もう、なにも恐れない。俺は一人で強くなるの。なにも求めない。この器だけで生きてくの」
『......貴方は......貴方の、その心が美しいのです。器だけなど』
「見た目じゃ足りない?」
『そ、そういうわけでは!あの、あの......』
「轟さん......ありがとう。でも、もう俺は誰にも頼らないでいたい。何も恐れず、何の不安もなく、無機質な物体みたいにありたいと思ってる」
『そんな......』
「もちろん、最高のパフォーマンスは見せるつもり。......俺は、『ミヤビ』になる。それだけ」
『......』
「俺の器を満たして。俺の心は求めないで......何もないんだよ。綺麗な器でしょ」
『姫......っ』
「嫌いになる?それでもいいよ......じゃあ、またね、轟さん」
俺の周りから愛を摘み取り踏み潰す。俺は酷い人間だと思う。でも、これで誰にも愛されずに済む。そして誰も愛さない。そうすれば初めから誰も傷つけずに済む。自分自身も守ることができる。
目を閉じてゆっくり深呼吸する。暗いステージを思い描いて目を開けた。大丈夫。俺は俺だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
22 / 214