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「ん?なんかメールが来てる」
一応俺もパソコンは持っていて、専用のメールアドレスもあった。しかし大体仕事の依頼は柚木の方に連絡が行くようになっていて、俺のところにメールが来るのは珍しかった。
「ウイルスメールとか気を付けてくださいよ。最近また新種のがでてるらしいですから。知らないやつからの添付ファイルは開いちゃダメですよ」
「それくらい俺でも分かってるって。......ん?日本語だなこれ。ラブリィユキちゃんより......ユキ......ユキちゃん?」
「ユキちゃんって、あのユキちゃん?」
ユキとは柚木とも一緒に仕事をしたことがある。普段はゲイビのウケ専男優だが、俺の企画に快く参加してくれて、雅と共に緊縛モデルを務めてくれた。それ以降も何度か雅を交えて飯を食ったりしたことはあったが、それも日本を出る数ヵ月前が最後だったと記憶している。
メールを開いてみると、間違いなくユキだとわかった。メールの本文中に一枚写真が貼られていて、それはユキと雅のツーショットだった。
「雅ちゃん......」
「え?雅さん?わ、猫耳?かわいい」
画面を覗き込んできた柚木に言われて気づいた。ユキは白い耳、雅は黒い耳をつけている。恥ずかしそうに、少し困った様子ではにかむ雅と、満面の笑みのユキ......
「何て書いてあるんです?」
「え、あぁ......」
突然のユキと雅の写真に動揺していた俺は、ようやく写真の下に続くメッセージを見た。
『黒ネコちゃんはユキ様がいただいたにゃ!返してほしくば電話しろにゃ!』
それだけの文章の下に、電話番号が続いていた。
「え......なにこれ、どうすりゃいいんだ......?」
「相変わらずですね、ユキさん。でも、わざわざ電話番号まで載せてきたってことは、ほんとに連絡した方がいいんじゃないんですか?」
「そう、なのかな、やっぱり」
きっと俺を見て笑ってくれてるわけではない。そう分かっていながらも、久しぶりに見た雅の柔らかい表情に俺の心臓は煩いくらいバクバクと鳴った。
メールはつい数分前に来ていたようだ。ユキは今、雅といるのだろうか。今すぐ電話したら雅と繋がってしまうのだろうか。そう思うと緊張して手が震えそうになったが、俺は意を決して電話を手に取った。
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