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「だ、だめです!姫、自らを、安売りしてはいけませんっ」
「......」
轟さんは、いつになく真剣な顔でそう叫んだ。
「どうか......ご自身の心から愛する方と」
轟さんは、もっと下心の塊だと思っていた。きっと、始まりはそうだっただろう。でも、最近では心から俺を想ってくれている。それが嬉しくて、そして切ない。
「わ、私は、姫の体が欲しいわけではありません」
「......ふふ、でも、こんなにして言われても説得力ないよ」
轟さんの股間を膝で刺激すれば、真っ赤な顔をして俺の上から逃げ出した。
「もう、彰吾には会えないもん......」
連絡なんて、きっと来ない。待つだけ無駄だ。でも、悲しくて、不安で、苦しくて、堪らない。
「会いたいけど、会えないし......愛してるけど、愛せない」
もう、誰にも甘えるまいと思っていたのに、いつから俺はこんなにも弱くなってしまったんだろう。
「寂しいの、癒してよ......」
「ひ、姫......」
平気なふりもできる。日常を過ごすことだってできる。でも、少しのことで溢れだして止まらない感情がある。
彰吾。彰吾。
「欲しいのは轟さんじゃない......けど、轟さんが俺を想ってくれるなら抱いて......一人じゃないって、思わせて......いつもの俺に戻れるように、頑張るから」
甘えれば甘えるだけ、相手を傷つける。
わかってるのに、自分に好意を持つ人にすがってしまう。
「......ごめんなさい。また迷惑かけちゃった」
「迷惑なんかじゃありません!わ......私で良いのですか」
「ごめんなさい......ユキでも、父さんでもいるのに。貪欲なの、最低でしょ」
「姫......姫が、笑顔でいてくださるなら、わ、私ができることならば、何でも仰ってください......!」
俺が笑顔でいられるなら。
彰吾と同じことを言ってくれる轟さんを、彰吾と同じように傷つける。
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