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「俺ばっかり欲しがってる......エッチ好きな、こんな俺じゃ、呆れちゃう?」
「ぜぜ、全然!す、好きです、どんな姫も!」
「轟さん......好き。もっと欲しいよ......」
「姫......っ」
姫のモノを口に含み、後孔へ指を入れて再び愛撫する。私の髪を乱すように頭を股間に押さえつけられながら、チラリと上を見れば艶やかに喘ぐ姫の姿に幸せを感じる。
「あっあっ、ぁ、口の中、あったかい......んんっ、ンッ」
私が下手なのか、二度目だからか、なかなか達する気配がなくて口が疲れてきた。指も、もう動かすのが辛い。
「ん......疲れた?いいよ、無理しないで」
「む、無理と言うわけでは、あの」
情けない。AVの世界が現実とは思えないが、恐らく東雲氏なんかは私より歳上でありながらももっと体力があるのだろう。いつも姫が、もう少し落ち着いて欲しいとぼやいてらっしゃる。
「ぎゅってして。それだけでいいから」
両手を広げた姫の胸に収まる。ぎゅっとするというか、これでは抱きしめられている形だ。
「はぁ......もう日が暮れちゃった」
「......ですね」
「轟さんは明日までお休みですか?」
「ええ、今年は5日からで......ひ、姫は?」
「俺は明日から。稼げるうちに稼がないとね」
姫の出演される作品はどれも人気作品となり、イベントはいつでも満員で、その業界の基本収入などは知らないが、私なんかよりはるかに稼いでらっしゃると思う。それでも姫の身の回りが派手になることもなく、恐らくだが仕事に熱中することでご自分を保っていらっしゃるように見える。僅かなプライベートの時間に、こうして私との時間を持ってくださることが嬉しい。
「だからそろそろ帰らないと......明日はまた神楽坂さんと撮影だから、しっかり休んどかないとね」
「神楽坂氏......」
また、ハードなSMプレイなのだろう。どこか切なげに言う姫の声に、何故、と問いかけたくなってしまう。
何故、ハードなSMのAVなどに出演されるのか。惨たらしいと思うのは私の価値観だが、けして姫が悦んでいるようにはどうしても見えないのだ。私では姫を満たして差し上げることはできない。たとえそうでも、神楽坂氏に抱かれている時より私の隣でいらっしゃる時の方が優しい表情をされているなら。
いつだったか、姫が緊縛を始めたきっかけを聞いたことがある。現実から目を背けたくて非現実的な世界に飛び込んだのだと......。今またさらに深い闇に身を投じているというなら、救ってさしあげたい。
貴方の悲しみを私が共に背負うから、どうか傷つかないで......。
「今日はたくさんありがとう、轟さん。また会ってくれる?」
「も、も、も、もちろんです。いつでも......」
「轟さんのお陰で、明日も頑張れそう」
笑顔が切ない。
「......いつでも、応援しております」
私が救ってさしあげるなど、きっとできはしない。己に自信がない。私に若さがあれば。整った顔立ちであれば。裕福であれば......。そんなこと、言い訳でしかないことはわかっている。自分が傷つくことが恐いのだ。私には今が十分すぎるほどに幸せだから。
「ありがとう」
姫は優しくて、 今日も別れの際に口づけを下さった。
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