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翌朝、俺は仕事のスケジュールを確認して、全ての仕事をキャンセルした。なんでどうしてと皆に聞かれたが、今はまだなにも言う時ではないと思い、適当に濁しておいた。ただ、芹沢さんにだけは伝えておいてもいいかと説明することにした。
『そっか......うん、そういうことなら仕方ないね。最後の舞台、きっちり調えるから!』
「ありがとうございます。最後まで我が儘言って」
『蓬莱夫人の言うことならどんなことでもお任せあれ』
「ふふっ、夫人なのかな?」
『夫人でしょう。あー雅くんが人妻かぁ、うわぁ、エロい響き』
「あはは」
『結局蓬莱さんは全てを手に入れたね。地位に名誉に金に、最愛の美人妻。あー羨ましい。ほんと羨ましい』
「芹沢さんの奥さんだって美人でしょ。知ってるんだから」
『まあねー』
「あ、すみません、これから仕事なんでそろそろ......」
『えっ、今日働くの?勤勉だねぇ』
「ふふ。じゃあ、また」
『あぁ。とりあえず再来週に会えるけど、蓬莱さんが許してくれるなら今度自宅にもお邪魔させてよ』
「はい。伝えておきますね」
芹沢さんと電話を終え、あとはユキと轟さんにも伝えないとと思いながら、時間がないのでとりあえず家を出た。
今日の撮影も神楽坂さんのSM緊縛だ。
......最後の懺悔だ。
愛する人を傷つけその手を離して、俺は、蓬莱さんの手を取る。どうか、龍弥が、彰吾が、幸せでありますように。
これが、東雲雅最後の仕事。
今日の夜には蓬莱さんの腕に抱かれて、蓬莱雅として生きていく。もう誰も傷つけないように、俺は、蓬莱さんだけを見つめて生きていくのだ。
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