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「こんなに食べられないよ」
「はは。抗がん剤を止めたら少し食欲が戻ったのと、雅が来ると思うとつい浮かれてしまった」
ソファーに並んで座る。蓬莱さんはずっと俺の腰を抱いて、食欲が戻ったなんて言いながらほとんど手をつけることなく俺の身体を撫でてばかりいた。
ずらりと並べられた料理は全て俺の好きなものばかりだった。その中から、比較的消化の良さそうなものを摘まんでは蓬莱さんの口に運ぶ。
「そうだ、ワインのいいやつがあったはずなんだ。開けようか」
「でも......飲めないでしょ......?」
あんなに飲んでいた蓬莱さんが、今は水しか口にしていない。俺だって強くないのに、開けたところで勿体ない気がした。
「残念ながらね。......でも、俺の代わりに飲んで。美味しそうに食べたり飲んだりする雅を見ているだけで満足だから......それに、酔った雅は可愛いからね」
親指で俺の唇を撫でてから、蓬莱さんはキッチンへ行ってワインボトルとグラスを一つ持ってきた。コルクを抜いて香りを確かめる横顔は、見蕩れるほどにかっこよかった。
「いい香りだ。ほら、飲んで」
グラスに注がれた濃い赤色。俺も香りを楽しんでから、少し口をつけた。
「わ......ほんとに、すごく美味しい。すごく芳醇な香り......濃くて渋みもしっかりあるのに、口の中にはずっとワインの香りだけが残ってるみたい......」
「それは良かった」
きっと、すごく良いワインなのだろう。上手く表現できないのがもどかしい。もう一口飲んでみるが、ソムリエみたいなことは言えなかった。
「俺も味見してみたくなってきたな」
「え、でも......」
「これくらいなら問題ないさ」
そう言うと、顎をすくわれねっとりと舌を絡めてキスされた。
「ん......っ、ぁ......」
ちゅ、と音をたてて舌を吸われて、ゾクゾクしたものが背中を走る。
「あぁ、これは極上だね」
「こんなんじゃ、物足りないんじゃないの......?」
「そうだね、もっと味わいたいな......」
目の前にグラスを突き出され、それをまた飲む。一口飲んでキスをして、また飲んで、キスをする。いつの間にかグラスは空になっていて、アルコールが回ってきて身体がふわふわする。これ以上飲んだら潰れてしまう。そう思うのに、蓬莱さんはまたグラスにワインを注いだ。
「も、だめ......」
「俺の代わりに飲むんだから、グラス一杯程度じゃ足りないよ」
「でも、も......ふわふわする......」
デザートの苺のムースが口に運ばれる。ワインに染まった口の中が一気に甘酸っぱくなった。
「おいし......一豊さんも食べて」
「ああ、頂こう」
「ぁ、ん、ちが......ぅ、ん......」
食べさせられて、キスされて、飲まされて、キスをする。もはや食べてるのかキスしてるのかわからなくなってきた。ただ、ふと見たボトルはもう半分も減っていて、そしてだんだん、蓬莱さんの手つきがいやらしくなってきているのに気づいた。
「あ......ぁん、ぁ、や......」
「おや、どうしたの?酔ってきた?でも東雲くんの血をひいてる君なら、まだ飲めるだろ?」
気持ち悪さはない。頭が痛いわけでもない。ただ、心臓がドキドキして、触れられるとこ全てが気持ちよくて奥が疼いてきた。
「ん、ぁ、ぁ、ほうらい、ひゃん......っ」
「美味しいね......最高の食事だ」
頭がボーッとしてくる。俺は、飲み過ぎると記憶がなくなるらしい。そんなのは嫌だ。蓬莱さんとの記憶は全部覚えていたい。なのに、身体はもう蓬莱さんのなすがままで、蓬莱さんは俺の理性をどんどん奪っていくように酒を飲ませていった。
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