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(Side:雅)
花束はあまり好きじゃない。花瓶に挿したとしても、じきに枯れてしまうから。俺がそう言うと、一豊さんはブリザードフラワーにすればいい、と言った。ブリザードフラワーとていつかは色褪せてしまうけど、それでも10年近くは持つ。そうして、轟さんから貰ったバラは俺の部屋にずっと飾られることになった。
『花はいいね。簡単に寿命が延びる』
一豊さんがぽつりと呟いた言葉が頭から離れない。
最後のステージから一週間が経った。一豊さんは最近、酷く咳き込むようになって、声も掠れ気味になっていた。
「一豊さん、大丈夫?白湯、飲めます?」
「あぁ......ありがとう」
桜の蕾も膨らみ始めた。日に日に暖かくなってきて、冬のような暗い空気はもう消えてしまったはずなのに。早く桜が咲いてほしいと思いつつ、散ってしまうのが怖くて仕方がない。
「雅......おいで」
「はい」
いつもの定位置。俺は一豊さんに寄り添って、頭を撫でてもらう。
「一豊さん」
「うん?」
「好き」
「俺もね」
もう何度交わしたか分からない短い会話。そうして春の日差しの中どちらともなくうたた寝するのが最近の日課だったが、今日は違った。
「そうだ......今日は夕方に東雲くんを呼んだんだ」
「父さん?」
「あともう一人ね。ちょっとばかし仕事がある」
「仕事......?」
「仕事というほどのことでもないがね。少しやっておかねばならないことがあるのさ。そう長くはかからない。夕飯でも作って待っていてくれればすぐに済むよ」
なんとなく俺を寄せ付けたくない雰囲気だった。たとえ数時間でも離れているのは不安だけど、用事だと言われてしまえば仕方がない。
「そんな顔しないで。可愛いね、拗ねてるの?」
「だって......また父さんばっかり」
「こんなに愛してるのにまだ足りないのかい?」
「......足りない。もっと、もっと欲しい......ちょうだい、一豊さん」
「いいよ、おいで」
セックスは負担がかかる気がして頻度を減らした。その代わり、毎日一豊さんのを口でする。俺の愛撫で硬くしてくれることが嬉しくて、最後までイけないことがあっても、一番熱い場所に触れていられることで安心できた。
「一豊さん......すき、だいすき......」
「可愛いね......ああ、気持ちいいよ、雅......」
静かな部屋に水音だけを響かせて、俺は夢中になってしゃぶるのだった。
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