アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
161
-
「俺は......ずっと、蓬莱雅でいる」
「ああ」
それは、俺が心から一豊さんを愛した証し。たとえ一豊さんがいなくなっても、一豊さんを想い続けるという証しだ。
「でも......まだ逝かないで。もっと側にいたい」
「あぁ......」
「俺の心には一豊さんだけじゃなくても、今は......今だけは、一豊さんだけを感じてたい」
「ありがとう。......いい子だ」
愛してる、愛してる、愛してる。
一豊さんは俺が彰吾と龍弥を想っていることを許してくれるけど、今だけは、この家の中にいる限りは、目の前の人だけを愛したい。
想いは目に見えなくて、繋がりも明確なものはないけれど。
触れられる熱だけは確かなものだから。
「一豊さん......ぁ、ん......」
「雅......ベッドに行こう。おまえを抱きたい」
寝室は遠くて、リビングのベッドに縺れるように抱き合って倒れこんだ。
俺と一豊さんは確かに互いを分かりあっている。それは、やっぱり一豊さんだから。うんと大人で、子供な俺のわがままを全部聞き入れてくれるから。
「あ......ん、はぁ、もっと、もっと全部触って......」
一豊さんと同じだけを、彰吾や龍弥に求めるのは間違っている。だから、俺は二人の手はもう取れない。彰吾も......たくさん苦しませた。愛してくれたけど、愛してるけど、彰吾には、龍弥にも、一人だけを愛することができる人の方がいい。
「んん......っ、はぁ、きもちいい......ぁん......」
でも、ちゃんと生きるから。一豊さんが愛してくれたこと、大切にしてくれていることがわかるからしっかり生きていく。
「一豊さん、愛してる......っはぁ......ずっと、ずっと愛してるから......」
......でも、一豊さんが一歩、また一歩と死へ近づくにつれ、俺は心を保つことができなくなっていくのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
163 / 214