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ダニエルと仕事の話をしていたらわくわくしてきた。変態かと思って身構えたけど、根は優しいいい人だし、きちんとビジネスとして持ちかけてくれているのがわかるから頑張ろうと思えた。
「ふぁ......あ、すみません」
「ごめん、緊縛の世界が興味深くてつい色々聞き入ってしまったよ。眠いよね」
「はい......眠くなってきました」
「そろそろ寝ようか。まだフライトは長い。俺も寝るとするよ」
パソコンを閉じて鞄の中に仕舞うと、大きな身体を窮屈そうにもぞもぞさせてブランケットを被っていた。
「はは、狭そう」
「あぁ、久しぶりに乗ったんだけど、エコノミーはこんなに狭かったかい?」
「ダニーが成長したんじゃないですか?」
「あー......それはあるな。ダイエットしなきゃなぁ」
ぶつぶつ言いながらも眠り始めたダニエルを見て俺も目を閉じる。
まだ、心の不安が全て取り除けたわけではない。けど、今は前向きな気持ちになれていた。
そういえば柚木に連絡するのをすっかり忘れていた。まぁいいか。早く帰ってこのビッグビジネスを柚木にも教えてやりたい。カメラマンには絶対柚木を、とダニエルにも推しておいたのだ。きっと驚くだろうな。
「んー......」
むにゃむにゃ言いながらダニエルの頭がカクンと俺の方に倒れてきた。重い。
......重いけど、人の温もりは心をあたたかくする。ダニエルはいい人だ。落ち込んでいた見ず知らずの俺を励ましてくれたんだから。俺に惚れたというのが冗談なのか本気なのかはわからないけど、この一瞬で親しくなれるくらいには好きになれた。いや、何がどう転んでも恋愛には発展しないけど。
「サンキュー」
小さく呟いてから、ダニエルの頭に頭を凭れさせて俺も眠った。大きな身体の静かな呼吸音は、今の俺にはとても心安らぐものだった。
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