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「ねぇ......今日はすごくいいお天気ですよ。覚えてる?初めて一豊さんがお花見に誘ってくれた時......屋形船から見る桜なんてあれが初めてだった。すごく綺麗だった......また、連れていってね」
一豊さんとの思い出を一つ一つ思い出しては脈略もなく話していく。
「一豊さんとは何回くらいステージやったっけ?俺、いつも楽しみだったんだよ......痛くても、わけわかんなくなるまで気持ちよくされても、最後にいつも優しく抱きしめてくれる腕が好きだった......父さんの縄も、彰吾の縄も特別だけど、一豊さんの縄も好きだった。だって一豊さん、他の人縛る時と全然違うんだもん。俺だけを特別大事にしてくれてるのが嬉しかった」
鬼畜で残酷非道......そんなの、一度も感じたことがない。底無しに優しくて甘やかされてばかりだった。
「色んなこと教えてくれましたよね。美味しい食事にお酒......緊縛とSMの歴史についてとか。あと、色んなプレイ。俺の身体を作ったのはほとんど一豊さんなんだよ。......どんなことでも怖くなかった。一豊さんだから、全て委ねられた。龍弥のことで自棄になってたのもあるけど......それでもきっと、あの時から一豊さんは特別な人だった。そうだ、憧れてた。何にも動じなくて全てを持ってる一豊さんに憧れてたんだ」
教えてもらったことは数知れない。ここに来てからだって、色んなことを教えてもらった。「きみは知識を得ることに貪欲で、そしてなんでも吸収してしまうから教えがいがあるよ」と、聞けば何でも教えてくれた。思えば、一豊さんがわからないと言ったことなんて何一つなかった気がする。この人の頭の中にはどれだけの知識が詰まっているのだろう。
「初めてプロポーズしてくれた日のこと、忘れたことないよ。あの時はすっごく驚いたんだから。一豊さんは俺なんかより遥かに大人で......だからこんな風に愛してくれてるなんて思いもしなかった。ねぇ、どうしてこんなガキみたいな俺を好きになってくれたの?あの頃は今よりももっと我が儘で......アングラの顔張り付けてたと思うんだけど、一豊さんには子供だましにしか見えてなかったのかな」
あの時もらった指輪は今でも大事に持っている。毎日つけるには石がついているからひっかかりそうでつけられないけど......今も、すぐ手に取れるところにある。
「綺麗な石......俺もこんな風に綺麗になりたい」
今日はつけておこう。光を反射してきらきらと輝くブルーダイヤモンド。
「......みやび......」
宝石の輝きを見ていたら、一豊さんが俺を見て微笑んでいた。
「どうした......今日は......えらくお喋りだ......」
掠れた声でゆっくりと話す言葉を一つも聞き逃さないように唇の動きを追う。
「見て、これ」
「あぁ......」
一豊さんの顔に頬を寄せて、目の前に指輪を見せた。一豊さんは嬉しそうに笑っている。だから俺も笑って。
「光が反射してとても綺麗」
「......おまえの方が......綺麗だよ......この世の何より......俺の宝だ......」
キザなセリフ。一豊さんらしくて、ドキドキする。甘やかされるのを感じる。一豊さんだけを感じる。
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