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はだかの王子様8
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ふっ…
「エドワード・J・フラー、何がそんなに可笑しいのだ?」
「あぁ、いえ。申し訳ございません。」
あぁ
可愛い王子様
あなた様の可愛らしさのおかげで、私は大変でございますよ。
「では、ここから先はお前一人で行くように。国王様とお妃様にくれぐれも失礼のないようにな。」
「はい」
今朝のあなた様のあのキラキラとした眼差し。
お生まれになったあの日から、あなた様は私の心を捕らえて離しては下さらないのですね。
「失礼致します。」
魔法使い好きとフラー様から伺っておりましたが、あれ程までとは。
古の魔法使いのような風貌をなさったフラー様にあの様に懐かれているのも納得でございます。
「お主か。今日からライルの執事になったという男は」
フラー様のことですから、もしかすると私と同じ様に、ライル様にご自分は魔法使いだと仰っているのかもしれませんね。
「ご挨拶が遅れまして。エドワード・J・フラーと申します」
一晩で模様替えなど、私には容易いことでございますのに。
「突然のことで我らも戸惑っておる。こうなった経緯を話してくれんか」
あぁ
こちらを早く切り上げて、ライル様の元へお戻りしたいと思っていますのに
「はい。私は、今は亡きライル様の母上様、アリア様に命を救われた身の上でございます。アリア様がお亡くなりになられた後、私の元へ一通の手紙が届きました。」
きっと、またあの眼差しで私を見つめて下さるのでしょう?
「なんと!アリアに救われたと…。して、その手紙とは」
しかし、すぐに人の言葉を信頼なさる純粋なお心は、可愛らしい反面、いささか危険な気もいたしますねぇ。
「その手紙には、アリア様のご遺言が。
[私にもしものことがあれば、私の可愛い息子を守って欲しい。但し、それは息子が10歳の誕生日を迎えてから]と。」
まぁ、今はまだライル様の大好きな魔法使いとして過ごさせて頂きますが。
「…なんと」
「それは誠か?エドワードとやら」
「はい、お妃様。こちらにその時の手紙もございます。そして、昨日がちょうどライル様の10歳のお誕生日にございます。」
こちらがお噂のお妃様でございますか。
お美しいが、何処か冷たい空気がございますね。
「そうか、ライルはもう10になったか。」
ご多忙とはいえ、私の可愛い王子様のお生まれになられた日をお忘れになるとは。
それで国王が務まるのでしょうか?
「ふむ…。そうだな、今日は一日遅れだが、ライルの誕生会を開こうではないか。お主の紹介も兼ねよう。」
「あなた、今日は久々の帰国。大臣たちとの会食もありますわよ?」
「よいではないか。会食などいつでもできる。可愛い息子の誕生日を忘れた上に祝ってやらんなど、父親失格だ」
…前言撤回させて頂きます。
アリア様が愛されただけのことはある様で。
「では、そういうことだ。ライルにもそう伝えてくれ。それと、すまなかったと。」
「はい。必ず」
きっとお喜びになられます。
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