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はだかの王子様14
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ライル王子の誕生会が開かれ、城中の者がライル王子の美しさを噂するようになった。
「やはり国王様とアリア様のお子なだけある!」
「まるでおとぎ話の"醜いアヒルの子"だねぇ」
「なんでも、新しく付いた執事がとても優秀なんだと」
「あんなに惨めでかわいそうだった王子がねぇ…」
そんなことなど露ほども知らないライル王子は、自室の小窓から中庭を眺めていた。
お城では毎月決まって国王主催の午後の茶会が開かれていた。
紅茶好きの妃の為にと国王が開催するのだが、主催者である国王は国務に追われ、事実上の主催者は妃になっていた。
茶会には国王の側近達とその子供達が招かれる。
これは本来の主催者である国王が決めたことであった。
が、しかし
主催者不在の茶会を我が物顔で仕切る妃は、自分の気に入らない者を茶会に招待しなかった。
例の如く、
ライル王子は茶会に呼ばれることはなかった。
ライル王子はこの月に一度の催しものが嫌いだった。
兄姉達からの嫌がらせならまだ我慢できた。
だが、母親を亡くしたライル王子にとって、妃は血は繋がらなくとも母親だったのだ。
心から慕う妃から煙たがられるのは、とても辛かった。
だから
城を抜け出すことを始めたのだ。
一歩城を出ると、ただ一人の普通の男の子になって、町のみんなから愛された。
その時間が、ライル王子には大きな支えとなっていた。
「…さま、ライル様?」
香り高い紅茶を煎れていた執事に呼ばれて、ライル王子はハッとした。
見上げると、執事がスクスクと笑っている。
「…あ、ぼく…」
「ぼんやりされて。考え事ですか?」
どうぞ、と渡されたティーカップからは、甘い香りと温かそうな湯気が立っていた。
「…いえ、ちょっと、思い出して」
「?」
そう言ってライル王子は、嬉しそうに笑うと湯気立つカップを持って、ふーっと息を吹きかけた。
ライル王子は茶会の日が嫌いではなくなっていた。
呼ばれなくてもいいと思うまでに。
城を抜け出すことも少なくなった。
全ては、目の前で微笑みながら手製のケーキを切り分けている
強くて心優しき執事のおかげだ。
彼が、ライル王子の側にいてくれるから。
今では、
ライル王子の執事、エドワードが支えになっているのだ。
「ライル様?私の顔になにかついていますか?」
「…いえ!」
穏やかな午後の昼下がりを、ライル王子は満喫していた。
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