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はだかの王子様15
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真夜中
城の部屋の一つに、燕尾服をきた執事が一人
その部屋は執事たちの会議が開かれる、漆黒の間であった。
「…おや、珍しい方がいらっしゃる」
後ろからの声に振り返ると、第一王子付きのユリールだった。
「こんな時間に、どうされました?」
「あなたこそ。いつもならば会議が終わると1番に席を立つあなたが、今日は一体どうされたのですか?」
「えぇ。本当に。一刻も早く私の愛しいあの方のお側にいきたいのですが、どうも気になることがありまして。」
エドワードが心底迷惑そうな顔をすると、ユリールは声を出して笑った。
「ははっ、本当にあの方が大切と見える。あんな何も持たない哀れな王子の何がそんなにいいのか、私には」
ユリールが言い終わらないうちに、エドワードは持っていた銀ナイフを投げていた。
カカッと音がしてナイフが床に突き刺さる。
それを避けたユリールは楽しそうに笑った。
「随分物騒な物をお持ちで」
「先日あなたからお借りした物ですよ。お返ししようかと」
「おや、それはご親切に」
「剣先に毒など、随分と古典的なやり方をされるんですね」
愛想笑いをしたエドワードにユリールが床に刺さったナイフを抜く。
「それが1番手っ取り早くて。私の主人が短気なお方なのでね」
「そのご主人は私の愛しい方に一体なんの恨みがあるのでしょう」
「さぁ?私はただ命令に従うだけですので」
ユリールが不敵に笑うと、胸ポケットに忍ばせていた銀ナイフをエドワード目掛けて投げた。
「来たばかりのあなたには申し訳ないが、これも主人の命令で。恨むならあなたの愛しい方を」
ナイフを避けたエドワードに重ねてナイフが飛んでくる。
「あなたは知らないようだ。その浅はかな忠誠心がどれほど危険か」
床に刺さったナイフを取りエドワードが投げると、ユリールの頬を掠めた。
「浅はかだと?私のファイム様への想いを」
頬から血が流れるのも構わずユリールがその顔から笑顔を消した。
「そのナイフで一体何人の者を殺めたかは知らないですが、それで何か変わったのですか?あなたの王子様は」
エドワードの言葉に怒りを露わにしたユリールがナイフを投げようとした瞬間、部屋の外から衛兵の声がした。
ユリールは舌打ちをすると、持っていたナイフをしまい、エドワードに笑いかけた。
「次はあなたも、あなたが大切にしている彼の方も、我が主のために亡きものにいたします。…ではまた」
そう言うとユリールは部屋の窓から闇の中へと姿を消した。
「…楽しみにしていますよ」
エドワードは暗闇にそう呟くと、漆黒の間を後にした。
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