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はだかの王子様21
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ライル王子が執事に心を開いていた頃、城内ではとある噂が流れていた。
「あのライル様に仕えている執事、実は昔人を殺めたことがあるって?」
「そうらしいよ!しかもひとりやふたりあじゃないって話さ!」
「なんでそんな男がライル様の執事に…」
「どうされました?」
噂話で盛り上がる召使いたちの前に現れたのは、次期国王有力候補と噂される現国王の第一子ファイム王子であった。
「ファイム様!」
「なんだか盛り上がっているので気になって」
優しく微笑むファイム王子に召使いたちは申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみません、騒々しくて。ちょっとした噂話がありまして、」
「噂話?」
ことの次第をファイム王子に伝えると、王子は美しい眉を潜めて
「そのような…」
と呟いた。
「恐ろしい話でございます」
「私たちも怖くて怖くて」
そう話す召使いたちに、ファイム王子はまた優しく笑った。
「ですが、それはあくまでも噂話なのでしょう?そのようなものに惑わされて彼やライルの心を傷つけてしまっては可哀想です」
美しい顔で静かに諌めるファイム王子に、召使いたちは赤面した。
「さすがはファイム様!私たちが浅はかでした!やはりファイム様が次期国王様に相応しい!」
そう叫ぶ召使いたちに微笑みながら、ファイム王子は黄金の間へと戻って行った。
「ユリール」
「はい」
部屋に戻ったファイム王子は繕っていた笑顔を不機嫌な顔に変えた。
「あの執事の話は本当か?」
「はい」
「噂を流したのは」
「私で、」
言いかけた金髪の執事に、ファイム王子は手近にあった美しいティーカップを投げつけた。
「余計なことを!執事の過去を探れとは言ったがそれを使えとは言っていない!お前の噂でライルはまた注目される!」
「申し訳ございません」
執事の腕に当たってティーカップが床に落ちると、あたりに破片が散らばる。
「ライルが僕より注目されるなんて、そんなこと、許せない。」
落ちた破片を拾う執事に、ファイム王子は新たな命令を下した。
「ねぇ、今ライルにとって一番辛いのは、あの執事があいつの前からいなくなることだよね。あいつの母親のように。せっかくお前が調べたんだ。お前ならできるよね?ユリール」
「…はいファイム様」
破片で傷ついた執事の指など気にも留めず、ファイム王子は寝室へと足を向けた。
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