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はだかの王子様26
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アリア様は、国王様の13番目の側室として、遠い異国の地から嫁がれた王女様でした。
この地では珍しい深く美しい黒髪と美貌、何よりアリア様の強く優しいそのお人柄にすぐに皆惹きつけられました。
国王様も例外ではなく、アリア様への愛情は今までにないほどで、側室方、ライル様のお兄様お姉様方の中には、アリア様をよく思われない方もおりました。
そんな折、城内でアリア様が誤って階段から落ちてしまう事故があり、アリア様はお怪我をされたのです。
「アリア!アリアっ!」
部屋の戸を壊れんばかりに叩く音に、アリアは眉を潜めた。
「アーヴィン、そんなに叩いたらドアが壊れちゃうわ」
「アリア!大丈夫か⁈」
アリアがドアを開けると同時に勢いよく入ってきた国王アーヴィンは、今にも泣き出しそうである。
「階段で転んじゃったのよ。でも大丈夫、ほら治療してもらって」
「全然大丈夫ではない!フラー!」
「はい」
アーヴィンの声に、部屋の外にいた国王付きの執事、ケビン・B・フラーが返事をする。
「今日からアリア付きの執事を任せる!」
「はい」
「ちょっとアーヴィン!私は執事さんは付けないって何度も言ったでしょ?あ、別にフラーさんが嫌だからとかそんなことじゃないのよ?」
「承知しております、アリア様」
慌てるアリアに、フラーは困ったように笑った。
「身の回りのことは自分で出来るし、怪我だって大したことなかったし」
「骨が折れたんだぞ!打ち所が悪ければそれどころではなかったかも知れん!それに…本当に事故だったのか?」
アーヴィンの問いにアリアは動く方の手でアーヴィンの頬をつねった。
「いっ‼︎」
「…そんなことを言うあなたは嫌いよ。」
頬を膨らませて横を向くアリアを、アーヴィンはそっと抱き締めた。
「…すまない、だが心配なんだ。アリア」
「…一国の主がそんな顔をして、仕方のない人ね本当に」
アリアは愛おしそうにアーヴィンの頬を撫でると、気を使って背を向けていたフラーに声をかけた。
「フラーさん。ごめんなさい、この体だとしばらく重い物が持てそうになくて、手伝ってもらってもいい?」
「はい、アリア様」
「アリア…こんなことになって、お前を守りたいのに、私は何もできないなんて」
「私はあなたから愛をたくさん貰ってる。それだけで生きていけるなんてあなたに出会う前まで知らなかった。私はこの世で一番の幸せ者よ」
「…フラー、アリアを、頼む」
「はい」
国王付きの執事だった私は、こうしてアリア様の執事となりました。
「…お母様は、お父様に愛されていた…」
「えぇ。とても。ただ、」
「ただ?」
「愛し合うお二人には、あまりにも大きな壁がありました」
「壁…」
「お妃様方です」
「!」
国王様は、アリア様を迎えてから新たに側室をお作りにはなられませんでした。
また、それまで国務に追われる合間を縫って、お妃様や側室方とお会いになっていた時間を、アリア様と会うためにだけ費やすようになりました。
お妃様や側室方は日に日に不安を抱くようになられた。
国王様がいつかアリア様お一人を妃とし、自分たちは捨てられてしまうのではないかと。
国王様がアリア様を愛すれば愛するほど、アリア様は幸せで辛い日々を過ごさなければならなかった。
私は、少しでもアリア様をお助けできればと、城の信頼できる者たちに密かに声をかけ、城内の情報を集め、お妃様や側室方の動向を伺っておりました。
ガンジたちがその時に集まった仲間です。
我々がアリア様をお守りする間はお妃様方も手出しできぬようで平和な日々を送ることができていました。
そんなある日
国王様が留守にされていることを良いことに、お妃様はアリア様にある国への視察を命じられました。
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