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はだかの王子様29
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「教えてあげよう、なにも知らない無知でバカな弟に」
ファイム王子は美しい顔で笑いながらライル王子を森の奥の大きな城に連れてきた。
城壁は劣化し、城内は荒れ果て、静まり返っていた。
「素敵なところだろう?ここは昔、お前の母親が作った城でね、国を追われた犯罪者たちを大勢匿っていたのさ」
「っ⁉︎」
「…国王に愛されるだけでは飽き足らず、自分の為に凶悪な護衛集団まで作るなんて。ろくでもない女だったんだ。そんな女にころっと騙されて、お父様もバカだよね」
ファイム王子は城の奥にある部屋の前で足を止めた。
「っ、なんで、そんなこと、」
「本当にお前はお気楽で幸せ者だね。…吐き気がする」
ライル王子の言葉に、ファイム王子は憎しみのこもった目でライル王子を見つめた。
部屋の扉にはホコリと劣化でほとんど見えなくなっていたが、うっすらと文字が掘ってあった。
『ニコライ ユーフォリア アル バル エドワード』
「…エドワード、」
「…僕が、どうしてお前を殺したいほど憎んでいるか知ったら、僕が手を下さなくても、心優しいお前なら自ら死を選ぶ。でも」
そう言ってファイム王子はライル王子の腕に手枷をはめた。
「そんなことはさせない。苦しめて苦しめて心が壊れてしまうまで苦しめないと、僕の気が済まないんだ」
そしてゆっくりと部屋の戸を開く。
「っ‼︎」
薄暗い部屋の中には、美しい柩に入れられた一体のミイラが眠っていた。
「ただいまニコライ。」
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