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何だか眩しい。
そんな曖昧な光に意識を戻され、気怠く目を開く。
真っ先に視界に入って来たのは電気の明かりで、先ほど感じた光は顔の横に置いてある、携帯の液晶だった。
『新着メール:17件
着信 :60件』
普段ならあまり見る事の無いメールと電話の件数に、思わず体を起こし慌てるが、直ぐに現実を理解し、また布団に倒れ込んだ。
「もう終わったんだって…」
外の空気を吸う為上着を羽織り、靴を履く為座り込むと、目の前で戸が開く。…俺、まだ鍵開けてないよな?
戸を開けた奴を見れば、つい先ほど見た様な気がする顔。出来れば今日は見たくなかった顔だ。
「…なんで電話もメールも返さないんですか…!」
冬にも関わらず額に汗を流し、俺を見下ろす大きな青い目。
返事をしようにも何て言ったらいいか分からない。視線を泳がし、無言を貫いていると、遼介はその場にしゃがみ、俺に視線を合わせに来る。
「高畑さん、その反応を見るとテレビ見ました?」
肯定の意味で、頷く。
俺の返事を確認したのか、初めて遼介の溜め息を聞いた。
「そうと分かれば話は早いです、今から俺の家に来て下さい」
「…何でそうなる」
「高畑さんが引っ越して来たばかりとは言っても、この場所がバレるのは時間の問題です。こういう時の為のマンションがあるんで、そこに一旦逃げましょう」
俺の心配をしているのか、声がいつになく真剣で…、こいつは本当に俺が好きなのだろうか。
「分かった、じゃあ行くか」
「は、はい!実はここから近いんで、裏道通って行けば人に会わずに行けるんです」
俺の隣で嬉しそうに笑っている。
あの緊急番組の後に急いで来たんだろうな、目はモデル用のカラコンだったのに、髪は普段用の茶色になってる。目までは気が回らなかったか、意外と子供だな。
雪こそ降っていないが、やはり寒い。
いつもの癖で、上着のポケットに手を入れて歩いてしまう。
遼介を見ると、何やら手を開いたり閉じたりと、落ち着かない。
見た瞬間は分からなかったが、遼介の手が俺の方へ、何回も近寄ろうと動いていた。
なんだ、意外と奥手なんだなと、人の事言えないが、こいつの余裕の無さに笑いが零れる。
未だに迷子になっている遼介の手を掴み、今まで1人分しか受け入れた事の無いポケットに、無理やり2本ねじ込んだ。
嘘みたいに静かになった手に、また笑いが零れる。
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