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坂城遼介の買って来た肉まんやらを温め直し、それをつまみながら暫く他愛ない話をしていると、目の前の顔が急に真面目な顔になり、急に相談が始まった。
「高畑さんは、仕事辞めようと思った事ありますか?」
「…急だな」
「すみません、いきなり重いですよね」
「ああ、かなり重い」
何せ、俺の現状が無職だ。
だがそんなの人気モデルなんかに知られたくないし、言う気も無いが…。
こんな俺が受けていい相談なのだろうか。
「モデルの仕事、辞めたいと思ってるんです」
「仕方無いからとりあえず理由でも訊いてやるよ」
「理由は…教えられないんですけど…、違う物に挑戦してみたくなったって感じです」
「…何だか軽いな」
「言葉は軽く聞こえるだろうけど、真剣です」
若いんだから自由に選択すればいい。
3ヶ月もすれば会社が判断してくれるだろ?必要な人材か要らない奴か…。
俺は要らない奴だったから、利用されてこのざまだ。
でもお前は違うんじゃないか?
「ま、…自分の好きな道を選びなよ、後で後悔しても戻れないしな」
「後悔…」
「そうそう、後悔なんて誰でも出来るんだって、大事なのは後悔しない道を選んで来たかどうかだろ?」
「…そうですね…」
「自分の好きな様に生きな、大丈夫だから」
「年上らしい事も言うんですね高畑さん」
「黙れ生意気ゆとり」
「よく言われます」
真面目な顔が一瞬で、万人受けする様な青年の眩しい笑顔に変わる。
本当に悩んでたのかと言うくらいに清々しい顔だ。
いや、答えが出たから清々しいのか?
どうやら正解だったらしく。
「高畑さん、」
「なんだ」
「お茶の時から一目惚れしました」
「何だそれ」
「付き合って下さいお願いします!!!」
「…そうきたか…」
頭が畳をすり減らす勢いで土下座を繰り出し、馬鹿でかい声で何やら騒ぐ。
そう来たか…。
「なら友人関係からな」
「それでも良いです!必ずOK貰える様にします!」
「おおー、頑張れ生意気ゆとり」
先ほどと同じく、あだ名の様になっている呼び方をすると、眩しい笑顔が消え去り、一瞬だが睨まれた気がした。
だが、もう一度顔を見ると今度は困った様な表情で、はははとまた力無く笑っている。
「遼介って呼んで下さい」
「…お、おう」
「あれ?もしかして早速俺に惚れました?」
やっぱりこいつ生意気ゆとりだ。
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