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激しく鳴る携帯のバイブに起こされ、テレビを着けると、見慣れた様な顔が映し出されているのが見えた。
『人気モデル、同性愛疑惑!?』
そんな見出しで、“モデルの坂城遼介”がちょうど質問責めに遭っている場面だった。
『噂では一緒に住んでるなんて話もありますけど、本当なんですか?』
『いえ、同棲はしていません。たまに家に遊びに行ったりするくらいですよ』
『この一般男性とはいつからお付き合いしているんですか?』
『申し訳ありません、その事については皆さんが聞きたがっている情報をお教えする事は出来ません』
『それは肯定として受け取っていいんですか?』
『気が早いですね、一般人の彼の生活を俺がどうこうしていいとは思わないってだけです。俺はともかく、彼にはこんなインタビューなんてしないで下さい』
その後も遼介は、のらりくらりと質問の内容に答えていく。何だこれ、何があった?
先ほどから五月蝿い携帯を開くと、非通知から恐ろしい数の着信が掛かって来ている。
今尚も鳴っている着信に、恐る恐る出てみると、
『キモいんだよ死ね』
それだけ言うと通話が切れ、また着信が掛かって来る。
きっとこの履歴全てこんな調子の電話なんだろう。
しかし、何で見ず知らずの奴が俺の携帯の番号を知ってる?まさか遼介が?
そんな不安が頭を過ぎったが、その答えはすぐに分かった。
『元同僚だという人物がSNSから発信したのが原因で、この一般男性の電話番号がネット上で…』
どうやら、俺はこの“元”同僚の奴に番号を晒されてしまったらしい。ふざけてる。
だが幸い非通知なら、設定次第で着信拒否に出来る。まだ軽い方だ、大丈夫。
それよりあいつの方が心配だった。
「遼介…」
テレビに映る困った様に笑う人気モデルが、急にとても遠い存在に感じた。
胸が痛い。
うまく息が吸えない。
視界がぼやけた。
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