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真っ白でバイ菌なんか漂ってないこの部屋が、僕の世界だった。
生まれた時から心臓に疾患があって、免疫不全で抗体なんか作られない僕の身体。ちょっと軽い風邪引いたと思ったら、すぐ悪化して肺炎になったり、気管支拡張症になったり…。絶対治せる治療法はなくて、感染症予防に月1で抗体を注射したり、投薬したり。長年薬と注射にはお世話になってるけど、やっぱり嫌いで、とても大変なんだ。
それに、入院生活が多くて学校に殆ど行けなかった。小学校も、気がついたら卒業式で、中学校に入学したのはいいけど、片手で数えられるくらいしか登校出来なくて、気がつけば高校生になっていた。
双子の妹、千冬(ちふゆ)ことちーちゃんとか、看護師さんに勉強は教えてもらってるけど、やっぱり学校行きたい。でも、風邪をひいたら完治するまで、僕はこの部屋、無菌室から出られない。
それに、もし家にいたとしても学校に行けないのだ。
「あんたなんか産まなきゃよかった!」
「疫病神!!」
「まわりに感染させたらただじゃおかないよ!!」
罵声罵声罵声。
お母さんから貰えるのはそんな言葉と、沢山の暴力だけ。
お父さんは僕の存在を見てくれない。
でも、僕のせいでお金をたくさん使わせて、何度も風邪ひいて、迷惑かけてるの事実で。
寂しいなって思うけど、お母さんの言う通りかもしれない。
僕は要らない子なんだもの。
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