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隣のアイツ
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エリ。
女みてぇな名前だと思うが、この自由奔放な外国人にはよく似合っていた。どこか中性的なオーラを醸し出しているせいだろうー。
それから何分かで飯の準備ができた。
ずっと見られていたから作りづらかった。
ピーマンの肉詰めどんぶりをエリの目の前に置き、割り箸と水も並べる。
「先食え」
と顎でどんぶりを指すと、不器用に「いただきます」と言って一口食べた。
「ん〜!とっても美味しい!!」
そうか、と心の中で安堵する。
まぁ、簡単だから誰が作っても美味いんだろうけど。
それでもこうして人に美味いって言ってもらえるのは悪い気がしないもんだな。
出しっ放しだった野菜を冷蔵庫にしまっていると、後ろで黙々と食べていたやつの声がしてきた。
「愛はすごいね、俺はこんな今日なことできないよ。」
あ??
こいつ、今なんつった。
俺の聞き間違いだといいんだが。
「愛?誰だ、それ。しかも今日ってちげーだろ、器用だろ。」
「あ、そっか!」
色々と間違ってるこいつは、ニコニコしながら垂れた髪を耳にかけ直す。
柔らかな香水の香りが次第に近寄ってくる。
「今日から愛ちゃんって呼んでいい?」
そう言って目の前まで近づき、綺麗な瞳で真っ直ぐ見つめられる。
グレーの瞳には小さく俺が写っていた。
「ねぇ、だめ?」
伸ばされた白い手が、俺の頬に触れる。
より強く感じる香りに背中がゾクっとする。
「離れろ。不審者がいるって警察呼ぶぞ。」
少し低めに言うと、ふふんと鼻を鳴らすし
そいつは俺から離れて、自分の携帯を差し出してきた。
「なんだよ。」
「かけて?」
「はっ?」
自ら警察への出頭希望?
なんだこいつ??
相当な変人に間違いないと確信する。
さっきからの図々しいにも程がある行動とは裏腹に、余りにも素直に従われるとこっちも躊躇う。
何故か余裕でニコニコと甘い顔で笑いかけてくるこいつは、俺に電話のキーパッド画面を開いて見せてきた。
「愛ちゃんの番号、かけて?」
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