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溶けるカラダ※R18
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エリの胸に顔を押し当てたままそう言い返すと、漂う甘い香りが俺の身体の隅々へ染み渡るように入り込む。
そっと頭を触れられてビクッとすれば
エリが優しく「悪いよ、それ全然違うから」と言いながら頭を撫でてきた。
「愛ちゃん、ワークパートナーの意味ちゃんと知らないでしょ」
「…んだから、恋人なんだろって」
「やっぱり…。ワークパートナーは恋人じゃない、ただの仕事仲間って意味。ふふふ…愛ちゃん英語苦手だったんだね」
ー仕事…!?
「ああっ!?それって」
「そう。愛ちゃんの勘違いってことだね」
マジかよ…
「で…でもじゃあ…なんでケイトは…」
あの時確かにケイトは怒ったような、困ったような顔をして深いたため息をついていた。
まるでバレたくなったかの様なそのそぶりに、俺は完全にエリと秘密で付き合っているんだと思っていた。
なのに、その関係がただの仕事仲間となれば話は別だ。なぜあんな顔をしたのか。
最後に見たケイトはなんだか思いつめていて、しかも『一人にさせて』と言われた訳で…
「ケイトにパートナーがいるのは本当だよ。ケイトのパートナー…彼女は〝サクラ〟って言ってね、凄く優しくて素敵な日本人女性なんだ」
「……え?」
よく意味がわからない言葉に思わずエリを見上げる。優しく微笑むグレーの瞳の中には小さく、困った顔の俺が写り込んでいた。
「ケイトは根っからのレズビアンなんだよ、しかも極度の男嫌い。仕事を一生懸命やってるのもその為で、来年には彼女と結婚式を挙げるんだって言ってたよ」
ーえ…えええええ!?!?
「マ…マジかよ…!?」
まさかのケイトまでもがそっちだったとは
全っ然分からなかった…
「そう。それでさっき、愛ちゃん本人から俺とケイトが恋人だって勘違いされた事にショックを受けてたんだって。
『あまりの鈍さに手が出るところだったわ』『しかもあなたたちが恋人関係なの分かってるって言ったばかりだったのに』『エリ…あなたも大変ねナイスファイト。そしてゴートゥーアイルーム』ってね…真剣な顔して言われたよ」
「そ…そうかよ…って…あ…?」
それは悪いことをしたと改めて思い返す。
だが今、聞き捨てならない事を言われた気がする…
「お前今、ケイトは俺たちのこと知ってるって……なんでバレてんだよ!!!」
ーあんだけ必死に隠してたのになんで…!?
それにケイト自身も『愛ちゃんとエリがそういう仲じゃないっていうの…ちゃんと分かってるわ』って言って…
「女の勘らしいよ、ふふふ。ねぇ愛ちゃん、ケイトが部屋で『そういう仲』って言ってと思うんだけど、それは『俺と愛ちゃんがただの〝お隣さん同士の仲〟じゃないって分かってる』…そう言ってたんだよ。だからこれもまた、愛ちゃんの勘違い…だね」
「おまっ……!!!それ、なんで知って
……っんん!!」
次の瞬間、
突然グッと身体を押し倒されベッドに沈む。
赤い唇が俺を塞いでそのまま熱い舌が入ってきた。
互いの指を絡めた手が頭の上に持ち上げられる。エリから流れ込む甘い唾液が俺の口から垂れてゆく。
「ん…ふ……ぁっ…ん」
ようやく離れた唇に目を開けるとグレーの瞳が冷たく、寂しそうに俺を見下ろしていた。
「愛ちゃん…」
ーまただ…その目…
夕方、コイツは車の中でも同じ目をしていた。
冷ややかで、そして悲しそうで…けれど何かを求める目…
それはまるで、ペットが飼い主に『捨てないでくれ』と言えずただ想いを秘める事しか許されない
そんな目をしているー
「俺もう我慢できない…ちょっとだけ酷くしちゃうかも」
「はあっ!?!いや、いやいやちょっと待て!!俺はまだ話が……んあっ!!」
部屋着の中に滑り込まれる熱い白い手が
キュッと胸の突起を捻る。服を捲り上げられるとそのまま赤い舌が先端を押し混むように舐めてきた。
「やっ…ぁっ…ん…」
片手で両手首を頭上で抑えられ抵抗できない。歯でカリッと噛まれれば、痺れるような甘い感覚が下半身に集まってゆく。チクリとした痛みを残して、エリの手が俺の下半身へと下がっていった。
「やめ…っ…エリ!!テメェいい加減にしろよ!!」
抑えられていた手首の力が弱まり、その隙に起き上がる。グッと身体を押し戻せば、エリと向かい合うようにベッドに座り込んだ。
今の行為だけで下半身が少し勃ってしまって息が上がる。どうにか足で見えないように隠しながら、目の前のエリに俺は気持ちをぶつけた。
「マジ訳分かんねぇっ…なんでこんなこと…っ…苦しくなるのはいつも俺なのに…お前がっ…何を考えてんのか俺には全然わっかんねぇ…!!」
ー溢れる感情
それは初めての想い
好きだから、すごく
だから本当のことを知りたい…
本当のエリを、全部俺だけに見せて欲しい
「お前はっ!俺にさっき〝もう離れないで〟と言った!!俺だってそうだよ離れたくないしもう離れるつもりもない!!でもっ!!!
…分かんねぇから。好きとか愛してるとかいうくせに俺の何処が好きなのか分かんねぇし…それは俺も同じだけど…お前怒ったりしねぇしそれに…」
けれどコイツは何かを決して出してくれない
ケイトが言ってた〝欲がない〟が
俺にあるんじゃないかと不安になる。
身体だけの欲じゃなく、心の欲。
怖いけど触れさせて欲しい…
だからこそ…
どうしても、コイツに言われたくない言葉が出てきてしまってー
「〝三日間のゲーム〟…終わりになんか…しないでほしい…四日後も五日後も、続けていきたいって俺は思ってる…」
そう言い終えると、俺と向き合ってから俯いていたエリがゆっくりと顔を上げる。アゴまであるゆるいウェーブのかかった柔らかい金色の髪。その間から覗くグレーの瞳から、ツゥーっと透明な涙が零れ落ちていった。
ポタポタと落ちる雫に思わずゾクッとしてしまう。小さく開いた赤い唇が何かを言おうとしているが声にならないのだろう。すぐに噤んでしまって…
「エリ……」
「……っ」
気がつけば俺は、
今にも壊れ、消えてしまいそうなエリに
自らキスを落としていたー
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