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【屋上】
怒りの表情を浮かべた陽太が俺と高橋の元から、どこかへと走り去って行ってしまった後、俺と高橋は一緒に屋上へと移動した。
―――今は、誰もいないようだ。
初夏の太陽に照らされ、ジワジワと額から汗が出てくるものの、吹き付ける風は心地よい。
それに、俺と高橋の二人きりしかいないため、何となく安堵してしまう。そして、ふいに、先程の高橋の言葉を思い出した。
『兎ちゃんと腹を割って話したい事もあるしな。』
―――高橋が俺と腹を割って話したい事とは、一体……何の話なのだろうか?
「…………なあ、高橋……その……さっき俺と腹を割って話したいって言ってたけど、それって―――何の話なんだ?」
「ん~…………兎ちゃんは本当に鈍いな。俺が兎ちゃんと二人きりになってまで話したい事……本当に分からないのかよ?」
「………………?」
暫くの間、真面目に考えてみたものの本当に心当たりがなく、困惑した表情を浮かべつつ、ニヤニヤと笑う高橋をジッと見つめた。
「―――仕方ねえ、鈍い兎ちゃんのために特別に教えてやるよ。俺が兎ちゃんと腹を割って話したいって言ったのは―――陽太ちゃんの事だ。」
「…………陽太の事?何で今更、高橋が陽太の事なんて、俺と腹を割って話したがるんだよ!?」
「兎ちゃんさ―――本当に陽太ちゃんの事が大好きで、守りたいとか思ってんの?さっきも、あんな醜態晒して………陽太ちゃんを怒らせて、傷つけて……本当に守りきれると思ってんの?」
―――ドキッ
まさか、高橋からそのような言葉をかけられるとは思っていなかった俺は思わず心臓が飛び出してしまうのではないかと思う程、動揺してしまった。
―――これ程までに動揺してしまうのは、俺自身が高橋の言葉を正論だと思ってしまったからだ。
「な、何が…………言いたいんだよ!?」
「じゃあ、はっきり言わせてもらうけどよ―――お前に陽太ちゃんを守りきれるとは思えねえ。それに、恋人同士になる見込みなんて皆無だ。だから、陽太ちゃんの事―――俺にくれよ?お前は、せいぜい指をくわえて見てろ。」
「……………っ!?」
高橋がニヤニヤとした笑みを浮かべながら、どことなく自信満々な様子で俺にハッキリと言い放ったのだった。
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