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―――修学旅行の日がやってきた。
目的地に向かうバスの中、浮かれて騒ぎまくっている周りのクラスメイトを尻目に俺は隣に座って、こちらを見向きもせずに窓の外を眺めている陽太を見つめていた。
すると、先程まで窓の外を眺めていた陽太が急に俺の方へと見たものだから、予期せずに目がバッチリ合ってしまった。
「―――何、まさかずっと僕の方を見てたの!?僕に何か用なら、さっさと済ませてよね。」
「え、えっと……その…………ほら、これあげる。昔から陽太が好きだったポッポっていう御菓子……」
まさか、陽太と目が合うとは思っていなかった俺は慌ててリュックの中をゴソゴソと探る。すると、運がいいのか悪いのか―――いつだったか、リュックの中に入れて食べそびれていたポッポというチョコレート菓子を見つけた。
さりげなく消費期限と消味期限を確認したが、大丈夫そうだったし、陽太は昔からこの御菓子が大好きで―――子供の頃は、互いに端と端から交互に食べ合っていき最後にはチューをするという他愛のない食べ方をよくしていた。
「―――あのさ、そんな下らない事で僕の方をジッと見つめないでくれる?まあ、ポッポは――もらうけど!!」
「ああ、ごめんな―――陽太。」
―――ヒョイッ
「あ~……ポッポだ!!俺、この御菓子……大好きなんだよね~♪兎ちゃん、こんな御菓子で陽太ちゃんの気を引こうだなんて……結構、単純なんだね。」
「なっ、か……返してくれよっ……それは、陽太にあげるんだから……っ!!?」
「やだね、そんなに返してほしいなら……力付くで取り返せば?」
俺がポッポという御菓子を陽太に渡そうとした寸前、意外な事に高橋がポッポを俺の手からヒョイッと取り上げた。
そして、俺をからかうように笑いながら言い放ってきた高橋に少なからず怒りの感情を抱いてしまった俺は慌てて高橋の手からポッポを取り返そうと実を乗り出した―――のだが、
キキーーーーッ!!!
急にバスが強くブレーキを踏んだため、バランスを崩してしまった俺の体は、意図せずに高橋の体を押し倒すように座席へと倒れ込んでしまうのだった。
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