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鞠香さん +(茶番)
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落ち込み気味に自分に言い聞かせる様に言った鞠香を悠紀は横目で見る。
「何言ってんだよ。貴方はもう六十超えた爺何だから、さっさと若い奴らに任せるべきだろ。」
「まだ五十九よ!それ外で言ったら許さないんだからね!」
フンとそっぽを向く鞠香。
鞠香はとことん見た目と中身のギャップが激しい魔術師なのだった。
長い髪とスラリとした華奢な体型。
中性的かつ美形な顔は表情豊かで、若い女性の様な溌剌とした仕草をする。
しかし、性別は男性。
あと二ヶ月もすれば六十歳を迎える。
要するにオッサンといわれる部類なのだ。
とはいえ、魔術師として生きる者は長寿な傾向にあり、最長で二百年生きた魔術師もいる。
その内の六十年と考えるならば、鞠香はまだ若い方ではあった。
そして、魔術に携わる者は肉体の老化が遅れる。
魔術師の殆どはその見た目よりも歳を取っているのだ。
鞠香がこの歳と性別であるにも関わらず、こんな容姿で生き生きとした態度を取るのも、全ては鞠香が幼少の頃に日野間家を支えていた人々が元凶。
その事は日野間家に関わる極一部人間しか知らない事だった。
「いいもん!魔術ならあたし負けないもん!」
「わあ。開き直った。面倒くせえ。」
悠紀は何の感情も無い声で適当に返す。
そうこうしているうちに厨房に着くと、悠紀は早速材料を集め、調理道具を出して料理を始める。
「カナト、疲れただろうからな。食べやすい物がいいよな。」
「うちの使用人が作ったあれは食べやすくないって事ね。よぉく、分かったわ。」
「…いつまで根に持つのさ。」
「そうね。じゃあ、いつまでも。」
他愛のない会話に付き合いながら料理をする悠紀に、鞠香が問いかけた。
「あなた、一週間前に悠紀家を出たんでしょ?なら、どうやってここまで来たのよ。かなりの距離があったはず。この短期間でここまで移動するは不可能よ。」
「あぁ、それね。ちょっと、せこい事させて貰っただけ。それだけだよ。」
と答える悠紀を、やはり腹の読めない奴だと鞠香は再認識した。
「どうも作者です。」
だって。と言うカナト。
それを見て悠紀は目頭を押さえる。
「カナトくん。これは一体何が起きているのかな。」
「えっと、作者の野郎からこのメモ用紙を貰ったんだ。それで読み上げてって。なんか頼まれた。」
「…ほう。仮にも作者が、文も書かずに、こんな茶番を、俺の大切なカナトにさせていると。万死に値する愚行だな。」
悠紀は怒りを露わにするが、カナトは特に何も気にせず、メモ用紙を黙読する。
「俺は別にいいよ。だって本編の中では純一は料理中で、多分あの周りくどい作者の事だから、しばらく純一に会わせてくれないし。茶番だとしても純一に会えてるから。俺は嬉しいんだ。」
そう言って悠紀に微笑むカナト。
悠紀は口元を片手で押さえる。
その目は少しだけ潤んでいた。
「お前は本当によく出来た子だな。」
「うん。純一がそう作ってくれたお陰だ。」
「駄目だ。どう切り返しても可愛い返事が帰ってくる。」
俺、そのうち萌え死ぬかも。と続ける悠紀を無視してカナトはメモ用紙を読み上げた。
「
文量が少ないと思っている人も、毎日ちまちま更新してんじゃねぇと思っている人も、何だかんだ、読み続けてくれている人も、こんにちは。
ちまちまイライラ勢の方々には朗報です。
本日から非常に忙しくなるため、しばらくは本当に雀の涙程度の文量になります。
なので、数週間書き溜めた文章を週末当たりにまとめて更新します。
9月に入ればいつも通りの更新が出来るようになると思うので、それまではご了承ください。
」
これで終わり。と言うカナト。
「謝罪してんのか?煽ってんのか?にしても苛立つ文だな。」
悠紀は眉間に皺を寄せている。
「そんな訳で、これ聞いて作者の職業が分かっちゃった人は、きっと作者と同業者だ。頑張ってこの夏を切り抜けよう。」
カナトは不機嫌な悠紀の肩を叩く。
悠紀は嫌そうな顔をしながらも、しぶしぶと前を向いた。
「「今後もよろしくお願いします」」
「はいカットー。お疲れ。」
「ったく、こんなの誰得だよ。てか、今監督みたいなこと言ったの誰だよ。」
「そう言いながら純一は付き合ってくれるよね。」
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