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ついにこの時がやってきただけのこと…。
寿は怖さはまったくなかった…。
男娼としてこの国に来たのだから、その勤めをするのは当たり前のことだから…。
寿は心も閉ざすように瞳を閉じた。
だが寿が思っていた温もりは来ずに、頭にポンと何かを乗せられた。
「……?」
寿は驚いて瞳を開ける。
そして乗せられたものを手に取る。
「…王冠‥?」
それは草木で作られている王冠だった。
「ああ。ある者に教えてもらって作ったのだ…」
(作った…?)
寿が瞬きを繰り返す。
「……もしかして、皇子がお作りになられたのですか?」
「ああ、うまいだろう?」
(なにやっているんだ、この皇子は…)
と、寿は呆れ半分だが、この皇子が王冠を作っている姿を想像すると、寿は眉間に皺を寄せたまま自然とクスクスと笑いがつい込み上げてしまう。
「私なんかのために作って下さりありがとうございます、皇子」
笑ってお礼を言うと、皇子の面持ちがパッと笑顔になる。
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