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「この城で働いている者で左利きはジョージだけですが…」
タクミが戸惑いながらも答えてくれる。
「そうか。いや、マユが料理人達の包丁を握ったことがある、と俺に自慢していたんだ。ここで働くほどの腕なら皆、自分の包丁を持っているだろう…?左利き用の包丁なら持ちにくいだろうな、とそう思っただけだ」
「‥そうですか…」
寿は咄嗟に誤魔化してみたものの、タクミは納得していないみたいだった。
(そりゃそうだよな‥)
料理人のことで聞きたかったら、料理人の中で左利きの者はいるのか、と聞くべきだ。
その矛盾にタクミはすぐに気付いたのだろう。
そしてタクミは何も言わないが、寿が何かを探ろうとしていることに勘づいている。
「そういや、タクミはなんで見張り番をしているんだ?タクミなら従者でもやっていけるだろう?」
その話題を逸らすというよりも、寿の素朴な疑問だった。
タクミは敵を作らなさそうな人柄で、そして何よりも勘が良い。
タクミはまたもや寿の唐突な質問に少し戸惑った様子だが、口を開いてくれる。
「…実は皇子から従者をやらないか?と直々に誘っていただいているのですが…」
(そりゃそうだよな。こんな人材をほっておく訳がないよな‥)
寿もタクミと少し喋っただけで、タクミの人徳と頭の良さに感心したほどだ。
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