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琴音
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琴音は、幼い頃から男の子とは思えない粉雪のような肌の白さで少し丸みを帯びた輪郭で、幼い頃は名前が女の子らしいということもあって、よく女の子に間違えられていた。
さすがにもうこの年齢になって、女の子に間違えられることはないが、粉雪のような肌の白さと丸みを帯びた輪郭は今も健在。
昔から二重瞼で唇もふっくらしている。
それが琴音のコンプレックスでもある。
男の子としては伸びすぎた髪は、この三ヶ月間はシャンプーの量を少なく使っていたので、かなり痛みが出てきている。
服装もジーンズにトレーナーの上にコートを羽織っているだけ。
地味な服装だが元からファッションには一切興味なかったし、それに琴音にしてみたらこの服装だけが正装といえる服装。
あとの洋服といえば友達からもらったジャージ三着だけ。
しかも友達が中学で使っていたお古の紺のジャージだ。
それでも琴音にとったら大事な洋服なので肩からぶら下げている小さな鞄に大切に入っている。
(よしっ!!)
今の琴音にとって自分の格好がどうかなんて本当にどうでもいい。
だって今の琴音は命がかっているといっても過言じゃない。
琴音は両親の遺骨と位牌とジャージが入っている鞄をギュっと握り締めた。
もう行く当てがない。
いや、行く当てはあったが自分から逃げてきた。
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